おすすめの今月の1枚

   
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【今月の1枚】シュピッツヴェーク、カール《蝶の捕獲》

【今月の1枚】シュピッツヴェーク、カール《蝶の捕獲》
 
ドイツの画家、シュピッツヴェークが描いたユーモアのある作品です。
南ドイツのミュンヘンで生まれ育ったシュピッツヴェークは、人の心の機微をユーモアや皮肉を込めて表現した、
絵画における数少ないユーモリストの一人です。
バイエルン地方の美しい自然を描くことも多く、印象派に通じるアット・ホームな自然表現も作品の特徴の一つですが、
この絵にある自然はドイツと言うよりはどこかの熱帯林のような風情で、トロピカルな熱気を感じさせます。
 
熱帯林で大きな美しい蝶を発見した蝶のコレクター。
でもなぜか、喜ぶというよりも驚愕し、当惑し、立ちすくんでいます。
よく見ると、その手にある網はあまりに小さく、せっかくの見事な蝶を捕獲することはできそうにありません。
太陽の光が反射した眼鏡で表情はよく見えませんが、それが彼の複雑な心境を、むしろよく表しているように見えます。
類まれなる蝶を発見したというのに、自分には捕まえることができない・・・彼の当惑と喜びは計り知れません。
 
こうした状況的にちぐはぐなズレの感覚や、どこか憎めない人物像もまた、
シュピッツヴェークの表現する“ユーモア”なのです。
 
(文責:畑中 真弓 2018年5月)
 
 
シュピッツヴェーク、カール《蝶の捕獲》
シュピッツヴェーク、カール(1808-1885)
《蝶の捕獲》
1840年
油彩、板/31×25cm、
ヴィースバーデン美術館、ヴィースバーデン、ドイツ
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