おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
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【今月の1枚】ゴッホ、フィンセント・ファン《自画像》

【今月の1枚】ゴッホ、フィンセント・ファン《自画像》
 
《ヒマワリ》の画家ゴッホは同じオランダの画家レンブラントとともに、多くの自画像を描いた画家としても知られています。油彩画だけでも40点近くあり、そのうち30点近くがパリ時代のものです。大都会パリでは、刺激を受ける一方、都会特有の慌ただしいリズムや必ずしも順調でなかった人間関係などに神経を苛立てることも少なくなかったゴッホは、その後、パリから太陽の光がふりそそぐ南フランスのアルルへ移ります。花瓶に活けられた7点の《ヒマワリ》を描き、また、それまで潜在的だったゴッホの“狂気”が顕在化したのがこのアルルでした。1888年のクリスマスの時のゴーギャンへの障害未遂とその後のいわゆる耳切り事件は、最初の顕著な“発作”であり、ゴッホはアルルの住民からつまはじきにされてしまいます。自身も精神面の健康に不安を頂いたゴッホは、1889年5月、アルルに近いサン=レミの病院に入院し、治療を受けました。この《自画像》はサン=レミ時代の作とされていますが、パリ時代説、あるいはこの後のオーヴェール時代説もあります。
 
いずれにしても、顔や頭の部分から衣服、背景にいたるまで、そのタッチは的確で力強く、画面をつつむグリーン系の色彩の統一感、バランスのよさも注目すべき作品です。背景のうねり、渦巻くような曲線は、この頃の作品に繰り返し登場しており、体調がすぐれない中、ゴッホらしさが開花した時代ともいえます。
 
さて、大塚国際美術館で7月18日(水)より開催中の「#アートコスプレ・フェス2018 feat. ゴッホ」(2018年10月28日まで)では、ゴッホの名画に描かれた衣装やゴッホが影響を受けた画家の作品の衣装を館内9カ所に設置しており、来館者はどなたでも自由に服の上から身につけて体験や記念撮影を楽しんでもらえます。この《自画像》からはジャケットを、絵画からイメージしたさわやかな色の生地に刺繍で渦巻きをほどこし、京都造形芸術大学の学生さんの制作協力で再現しています。渦巻きの壁紙の前に立ち、絵画の主人公(ゴッホ)になった気分を味わってみてください。
(文責:富澤 京子 2018年8月)
 
 
ゴッホ、フィンセント・ファン《自画像》
ゴッホ、フィンセント・ファン[1853-1890]
《自画像》
1889年頃
油彩、カンヴァス/65×54.5㎝
オルセー美術館、パリ、フランス
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