おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
絵画鑑賞をもっと身近に興味深く楽しんでいただけたら嬉しいです。
 

【今月の1枚】エッグ、オーガスタス・レオポルド《旅の道連れ》

【今月の1枚】エッグ、オーガスタス・レオポルド《旅の道連れ》
 
 今月は「旅」をテーマに描いた作品をご紹介します。
 
 旅にあたる英語「travel(トラベル)」はフランス語の「travaille(嫌な、辛い事)」が語源になっていると言われています。今では「旅=楽しい」というイメージですが、昔は、ことわざにもある「旅は憂いもの辛いもの」、つまり旅先には知人や土地勘もなく心配が多い、と捉えられていたようです。
19世紀中頃になり、ロンドンでは旅行代理店がオープンしたり、パック・ツアーが売り出されたりと、楽しく心はずむ旅は、レジャーの中心的な存在になりました。
 
 その「旅の時代」の始まりを象徴するような作品が、今回ご紹介するオーガスタス・レオポルド・エッグが描いた
「旅の道連れ」です。
この作品は、イギリス人画家エッグが1862年に南フランスと北アフリカに、保養の旅にでかけた時の体験に基づいて描かれたそうです。当時、フランスのカンヌやニースといったリヴィエラ(地中海沿岸地方の名称)は、とりわけイギリス人に人気が高く多くの人が訪れていたそう。
 
 画面には二人の女性が狭い車内で向き合って腰をかけ、思い思いに過ごす様子が描かれています。列車の窓の外の明るい光景は、南フランスのマントンの風景。風光明媚な自然が見えていながら、二人とも美しい風景には無関心のようで、ひとりは熱心に本を読み、もうひとりの女性は長旅に疲れたのか、退屈なのか、眠り込んでいるようです。
 
 現代においてもこのような光景はよく見かけますし、自分自身が作品の女性と同じような過ごし方をしていることもしばしば。旅の概念は変わっても、このような光景はいつの時代も変わらないものですね。
(文責:山側 千紘  2017年5月) 
 
 
 
エッグ、オーガスタス・レオポルド《旅の道連れ》
旅の道連れ
エッグ、オーガスタス・レオポルド(1816-1863)
バーミンガム市立美術館、バーミンガム、イギリス
油彩、カンヴァス/64.5×77㎝
1862年 
※写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです 
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