おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
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【今月の1枚】アルトドルファー、アルブレヒト《アレクサンドロス大王の戦い》

【今月の1枚】アルトドルファー、アルブレヒト《アレクサンドロス大王の戦い》
 
 アレクサンドロス大王は古代マケドニア(ギリシアの一地方)の王として世界史にその名をとどめています。東方に遠征し、エジプトでは壮麗な都アレクサンドリアを建設し、当時強大を誇ったペルシアを突破した大王はついにインドまで達しましたが、道半ばにして病を得て33歳の若さで世を去りました。
 
 《イッソスの戦い》とも呼ばれるこの絵は、大王が紀元前333年にシリアのイッソス河畔で総勢10万にものぼるペルシアの大軍をその三分の一の兵力で撃破した歴史的な戦いの模様を描いています。
画面中央上部にかかった銘文にはこうした彼の武勲が示されています。しかし画家アルトドルファーは、この壮大な光景を歴史書と想像力を頼りに描き出したそうです。
 
 銘文から吊るされた重りの先をそのまま垂直に地上までたどって行くと、愛馬にまたがったアレクサンドロスの勇壮な姿に行き当たります。その左で部下とともに馬車に乗って敗走するのはダリウス(ダレイオス)3世です。右上の輝ける太陽は「日の出の勢い」のアレクサンドロス大王を、左上の淡い三日月は落ち目のダリウスないしペルシア軍を暗示しているようです。
 
 画面下半分では密集隊形を組んだ両軍の兵士がせめぎ合っていますが、その徹底した細部描写は驚嘆に値します。大塚国際美術館では原寸大で作品を再現しているため、このような細部の表現も間近で鑑賞できるのが楽しみのひとつです。
(文責:土橋加奈子 2017年10月)
 
 
クラナッハ、ルーカス《回春の泉》
《アレクサンドロス大王の戦い》
アルトドルファー、アルブレヒト(1480頃-1538)
アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン、ドイツ
油彩、板/158.4×120.3㎝
1529年
※写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです
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