#東京大学体験活動 お気に入りの名画

   
大塚国際美術館にはおよそ1000点の作品があり、鑑賞順路は約4km。
「どんなふうに絵を見たらいいのか分からない」
「すべて鑑賞するには時間が足りない」
そんな方々の参考になればと、オリジナルな視点で「おすすめ」の一枚を選びました。
普段は知り得ない、お気に入りの一枚が見つかるかもしれません。
 
 
   
写真1)《メナンドロス》
今回紹介するのは「メナンドロス」の肖像画です。

メナンドロスは古代ギリシャの喜劇作家です。実は私、つい一ヶ月ほど前にギリシャでメナンドロスの喜劇「エピトレポンテス」を俳優として演じてきました。ですので大塚国際美術館でこの絵を見つけたときの感動がとても大きく、せっかくなので紹介させていただきました。どうやらポンペイでは古代ギリシャの劇、特にメナンドロスの喜劇が大流行したようで、このような壁画が残っているみたいです。
 
さて、大塚国際美術館では近くに演劇の神「ディオニュソス」の壁画(写真2枚目)も展示されています。ディオニュソスはバッカスと同じ神のことで、演劇とぶどう酒の神様です。
 
バッカスの絵というと、ベラスケスやカラヴァッジョの作品(写真3,4枚目)が有名でしょうか。大塚国際美術館ではこの二人の画家によるバッカスの絵をどちらもみることができます。とても大きな美術館ですので、例えば「バッカスは全部見つけてみる」というような目標を立てておくと楽しく周ることが出来るかと思います。そしてちょっと疲れたらレストラン「GARDEN」で「最後の晩餐」を注文しワインかぶどうジュースを飲んで、色んな絵に思いを馳せながら休憩するのはいかがでしょうか。(T)
 
 
写真2)《豹に乗るディオニュソス》
 
写真3)ベラスケス《バッカス》
 
写真4)カラヴァッジョ《バッカス》
 
 
   
フース《羊飼いの礼拝(ポルティナーリ祭壇画)》
私が紹介しますのはヒューホ・ファン・デル・フースの《羊飼いの礼拝(ポルティナーリ祭壇画)》。
 
一見すると普通の宗教画に見えるこの絵。しかし、立ち止まってよく見ると「えっ?」と思わせられ、強烈に印象に残る作品となるでしょう。私自身、その感覚に見事にハマってしまいましたので、これをイチオシとして紹介したいと思います。
主題はキリスト生誕と羊飼いの礼拝。ですが肝心のキリストは地面にたいへん雑に寝っ転がされています。姿かたちもしわくちゃ。少なくとも現代の鑑賞者は、常識と違ったその様子に引きつけられてしまいます。そして周りの人物に目を移すと、マリア、ヨセフ、羊飼いの3人と比べ、他のキャラクターは小さめに描かれています。画面右上に飛ぶ天使は、両手を上げクリオネのようなポーズを取っているのも頭に残ります。

という風に、私達に奇妙な感覚と強烈な印象を与えるこの絵。画中の要素を紐解いてみましょう。キリストの下に敷かれている麦の穂や花瓶の赤いユリとアイリスはキリストの犠牲を、オダマキは聖母の悲しみを表しています。地面のスミレはキリストの謙遜を意味し、画面左のスリッパはそこが聖なる空間ということを示しています。羊飼いの後ろにはキリスト生誕にまつわる前日譚が描かれています。

このように一度気になってしまうとどんどん奥に入り込むことのできる作品。スタッフの富澤さんもこの絵が大好きだそうです。原寸大でどこまででも絵に近づける大塚国際美術館だからこそ確認できる要素もあります。ぜひ皆さんも、この作品の虜になってください!(S)
 
 
   
ボス《快楽の園》
私がおすすめしたいのは、ヒエロニムス・ボスという画家が描いた《快楽の園》です。
 
この絵は三枚のパネルからなる三連祭壇画で、向かって左から〈エデンの園〉、〈快楽の園(現世)〉、〈地獄〉が描かれています。この絵をよく見ると、そこには数多くの人々に加えて、様々なモンスターたちが見つかります。
 
例えば〈快楽の園〉の中心にある泉の周りでは、何人もの人々が馬に乗ってそれを取り囲んで浮かれているなど、様々な人種が入り混じって快楽の限りを尽くしている場面が表現されています。更に〈地獄〉のパネルには、卵の殻の形をした枯れ木や人を食べる鳥人間、矢が刺さった巨大な耳の間からナイフが突き出ている様子など、非常にシュールなモンスターたちが所狭しと描かれています。
 
それぞれのモチーフには、官能の快楽や物質のはかなさなどの意味が込められているので、じっくりと観察して意味を考えてみるのもこの絵の醍醐味であると思います。
 
ボス《快楽の園》扉部分
ボスのものとして残っている作品はとても少なく、来日することもあまりありません。特にこの《快楽の園》はボスの代表作であり、また大きな作品であるため、日本でオリジナルを観ることができる機会は本当に稀でしょう。そんな《快楽の園》ですが、大塚国際美術館に来れば、原寸大で細かい部分までをいつでも観ることができます。また大塚国際美術館の《快楽の園》は、なんと祭壇画の扉が自動で開閉するんです!よって、普段はなかなか観られない扉の表部分も楽しめるようになっています。
 
ボスの描く奇怪な世界に魅了された方は、大塚国際美術館で開催中の「名画の怪」というイベントにも参加してみてください!怪しい絵がたくさん紹介されています。
詳しくはこちらをご覧ください。(K.Y)
 
 
   
ミレイ《オフィーリア》
こんにちは。わたしのおすすめの1枚はジョン・エヴァレット・ミレイの《オフィーリア》です。

画面はシェイクスピアの四大悲劇『ハムレット』の一場面です。オフィーリアが川に落ちた時の模様が母ガートルードの台詞に沿って描かれています。彼女の周りを様々な花や木が飾っていますが、これらの植物にも意味が隠されているんです!作品の左下にそれぞれの花言葉の意味も表示されているので、合わせて鑑賞してみてください!!
ところで筆者はこれを見ると『赤毛のアン』を思い出します。というのも最近までアンが舟に横たわって川を下っていく時に扮していたのはこのオフィーリアだと恥ずかしながら勘違いしていました。実際にはアーサー王伝説で騎士ランスロットに恋するエレーンです。
 
とはいえ、本当にこの絵が元ネタになっているアニメもあります。そのアニメとは『崖の上のポニョ』。ポニョのお母さん、グランマンマーレが海に横たわるシーンはこの絵をもとにしていると言われています。
 
他にも西洋絵画には様々な映像作品に登場する絵、神話・伝説や文学作品を元にした絵がたくさんあります。その繋がりを知った上で鑑賞してみるとよりイメージが広がり、新たな面白さを発見出来るのではないでしょうか。
その手助けとして、大塚国際美術館で開催している「名作アニメ・漫画に登場する名画ツアー」にも参加してみてください!毎回満員になるため予約がオススメです!!(S)
 
 
   
《最後の晩餐》
こんにちは。
美術館には人が描かれた絵画が数多くありますよね。歩きながら絵の中を眺めていると、ばっちり目があったー! なんてことあります。はっと驚いたように振り返って目があったり、意味ありげな微笑みを浮かべて見つめてきたり……絵のなかに描かれた“瞳”、そしてそこから生み出される“視線”というのは、注意深くみてみると実はとても面白いんです。
 
そこで今回私がご紹介するのは、この一枚。イタリア、サンタポッリナーレ・ヌオーヴォ聖堂の壁にあるモザイク画《最後の晩餐》です。イエスが晩餐の最中に「この中に裏切り者がいる」と弟子たちに話す、いわゆる「最後の晩餐」のシーンを表現しています。衝撃的なお話に弟子たちは動揺を隠せません。左端に座るイエスの方を向いて、弟子たちは「まさか私を疑っているのですか」とでも言っているような雰囲気です。
それに対して、左から6人目の弟子からは右端の人物をじぃっと見つめています。(お前が裏切り者なんだろ)っと。この右端にいる人物が、みなさんご名答! 裏切り者のイスカリオテのユダです。ユダは他の弟子たちに睨まれて、たじろいでいる様子です。眉毛がへの字型に曲がっています。
 
一枚の絵画の中で視線が生み出すドラマが広がっている作品で、非常に魅力的で面白かったのでご紹介しました。「目は口ほどに物をいう」という諺がありますが、この作品はまさにこの諺がぴったりなように思います。
いかがでしたか? 絵画の中の視線を追っているうちに作品の人物を見ているつもりが、逆にこちらが見られているような気さえしてくるかもしれませんね。
作品への視線だけでなく、作品の中、そして作品からの視線を感じながら鑑賞していただけたらなと思います。
そこには、一目惚れするような思わぬ出会いがあるかもしれません。(E.N)
 
 
   
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》
こんにちは。私が紹介するオススメの1枚はフランソワ・ジェラール作《アモルとプシュケ》です。

これは「神と人間の恋」を描いた作品です。美の女神ウェヌス(ヴィーナス)が羨むほどの美貌を持つ人間プシュケに愛の神アモルは恋をし、二人は様々な困難を乗り越えて恋人となります。
ここでは神であるアモルが人間のプシュケの額にキスをする様子が描かれています。プシュケにそっと触れる手の様子からはアモルの深い愛が伝わってきます。一方でプシュケはアモルの方を向いていません。人間のプシュケには神であるアモルの姿は見えないのです、少し切ないですね。しかしキスをされているのはわかるようでプシュケの頬はほんのり赤く染まっています。
 
この絵はギリシア・ローマ神話がもとになっています。筆者はギリシア・ローマ神話が好きなので、その絵自身の美しさと共に、絵の状況やストーリー、背景を想像しながら楽しんでいます。
大塚国際美術館にはボッティチェッリの《ヴィーナスの誕生》、リュベンスの《三美神》をはじめとしてたくさんのギリシア・ローマ神話の名画があります。展示作品は約1,000点と豊富ですので自分でテーマを設定して館内を回って見るのもオススメです!(N)
 
 
   
ラ・トゥール《悔悛するマグダラのマリア》
はじめまして!今回私がご紹介するおすすめの1枚は、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作《悔悛するマグダラのマリア》です。

"夜の画家"と称されるラ・トゥールですが、この一枚をはじめマグダラのマリアを主題とした作品を数点描いたと言われています。今では世界中の美術館で公開されていますが、ここ大塚国際美術館にもルーヴル美術館にある1枚が陶板で展示されているんです。
 
そんな《悔悛するマグダラのマリア》ですが、実はあの人気ディズニーアニメ、リトルマーメイドの劇中に登場するシーンがあるんです!「パート・オブ・ユア・ワールド」でアリエルが秘密の洞窟で人間界への憧れを歌うシーンに映っています。アリエルの集めていた宝物の1つにこの名画もあったという設定になっているんですね。
 
なぜ子ども向けアニメにこの絵画が選ばれたのでしょうか?
長い赤髪が共通しているから?それとも他に何か深い理由が隠されているのでしょうか…?
コメント欄にてみなさんの推理をお待ちしています…
 
*大塚国際美術館では「名作アニメ・漫画に登場する名画ツアー」で、さらに沢山の作品をご紹介しています。
ぜひこちらにも参加してみてください。詳細はこちらから。(K)
 
 
   
フーケ《聖母子》
絵画史を通じてもっとも描かれた女性は一体誰だろうか。それはおそらく聖母マリアである。
 
マリアと聞いたら、ラファエロ《大公の聖母》のような我が子を抱く「母」としての姿が思い出されるかもしれない。けれども、ここでは「普通ではない」マリアを紹介したい。
 
ジャン・フーケ《聖母子》のマリアは、人ではなく、人形や彫刻のような不思議な容貌をしている。この世俗的に描かれつつ、機械のような人工の冷たさを持つマリアのモデルはフランス国王シャルル7世の愛人といわれている。
カラヴァッジョは《聖母の死》で、聖母を信仰の対象としての理想的な姿ではなく、身近な庶民の姿で描いた。光の効果による劇的な場面の演出も相まって、マリアは、まるで映画のヒロインのようだ。

大塚国際美術館には、《受胎告知》や《聖家族》をまとめて展示した部屋もあり、様々な聖母を一度に見比べる事が出来る。
果たして、神の子の母である彼女に、それぞれの画家は、誰の、どのような姿を重ねたのだろうか。
 
 
カラヴァッジョ《聖母の死》
 
ルネサンス展示室
   
#東京大学体験活動プログラム「おすすめのフォトスポット」はこちら
 
※大塚国際美術館は2017年8/25-8/27間、東京大学体験活動を実施いたしました。
 プログラムの一環として、このページは研修生によるお気に入り作品を紹介しています。
<<大塚国際美術館>> 〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1 TEL:088-687-3737 FAX:088-687-1117