過去のおすすめ

 

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【今月の1枚】 モネ、クロード 《大睡蓮》
モネの親友であり、フランス首相を務めたクレマンソー(1841-1929)の提案による当作品「大睡蓮」は、1916年から1926年の間10年を費やして制作された作品です。大きさは、縦2メートル、横は全て合わせて50メートル強の堂々たる大作です。

モネは1883年に、自宅のあったパリが洪水に遭ってしまった事をきっかけに、ジヴェルニーに移住し、ここを拠点にして創作に励みました。画家は以前から日本に対する関心が強いものがあり、後に購入した庭園を日本趣味に仕立て上げました。太鼓橋を安藤広重作の浮世絵「亀戸天神境内」を参考に架け、その太鼓橋に藤棚を備え付けさせ、なおかつしだれ柳までも庭園に植えました。

当作品は、そのジヴェルニーの庭園を主題にして描いた作品のなかでも晩年の制作です。この時代に至って、画家は空をもはや描かれず、睡蓮、水面、そして柳のみを描きました。
頭上から足元まで広がる一面の2メートルの水面の楕円形の作品に囲まれながら、鑑賞者は水に包まれながらこの大作をご覧いただくことになります。

更に、現在週末開催の週末ギャラリートークでの「名画花図鑑」でも当作品の紹介があります。ご予約の上、当作品の解説を聴かれると当館での滞在がより印象深いものになってくれることでしょう。 他にも、ジヴェルニーの名を付けたB2Fのカフェ「カフェ・ド・ジヴェルニー」にて、モネの作品をイメージしたかき氷が睡蓮の開花時期に合わせて、6月からお楽しみいただけます。

ゆっくりと大睡蓮をご鑑賞いただきながら、モネの作品に想いをはせながら、夏の思い出にカキ氷はいかがでしょうか?
 
(文責:学芸部 市川 敏之 2014年6月)
 
【今月の1枚 】サージェント《カーネーション・リリー・リリー・ローズ》
一面の花に囲まれ2人の少女が佇むのは、夏の夕暮れの庭です。
イギリス滞在中のサージェントが、知人と舟遊びをしている時に、木にぶらさがる提灯を見て作品の制作を思いついたといわれています。
当時ヨーロッパでは日本の文化が一世風靡したジャポニズムの時代で、ロンドンでも提灯やうちわなどが日本から大量に輸入され、デパートなどで売られていたそうです。

サージェントはこの作品の制作のために、花が枯れるたびに植え替え、時には造花まで使って花を絶やさないよう大変な手間をかけ、少女の髪の色にまでこだわったといわれますが、一番描きたかったのは、夕暮れどきの微妙な光でした。
理想とした藤色の光をとらえるために日が沈む前の2~3分に制作したため、ひと夏では完成せず、次の年の夏に2年越しで完成したそうです。

タイトルの「カーネーション・リリー・リリー・ローズ」は当時の流行歌「花飾りの輪」の一節からつけられたものですが、メロディーも作品にぴったりのなつかしい感じのする曲で、絵の前に立つとつい口ずさみたくなります。
 
(文責:学芸部 森 輝実 2014年5月)
 
【今月の1枚】 レオナルド・ダ・ヴィンチ 《受胎告知》
「受胎告知」は、神に遣わされた大天使ガブリエルが、ナザレの町のマリアに神の子イエスをみごもったことを告知する主題です。
一般には3月25日とされていますが、それはキリスト降誕の日から逆算して9ヵ月目であること、その時期が花咲く春の始まりで、人類の永遠の生命の開始にふさわしいとされた理由によります。 また、マリアの生誕地ナザレとは、「花」という意味もあります。

この作品では、画面右の聖母マリアは赤と青の服を身に付け、腹部に黄金の布を巻いています。
向かい側の大天使ガブリエルはひざまずき右手で祝福のポーズを、一方の左手には白いユリを携えています。

古来より神聖な花とされてきたユリは、聖母マリアの純潔を象徴する花として 《受胎告知》の場面に頻繁に描かれました。
ここでは植物観察の鋭いレオナルドならではの緻密な描写が目を引きます。
20歳を過ぎたばかりの才能溢れる若き画家の息吹までも感じられるようです。

4月からのイベント「名画花図鑑~花からわかる名画の秘密」の週末ギャラリートークでは、スタッフがギャラリーをめぐりながら、花にまつわる作品を紹介しています。
暖かくなりお出かけしやすいシーズンです。
美術館で芸術の"春"を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

4月から9月は「名画花図鑑~花からわかる名画の秘密~」をテーマに、描かれた花にまつわるエピソードとともに絵画をご紹介いたします。
期間中、当館の1F庭園には、この名画に描かれた花の咲く花壇も登場。
これから気候のよい時期に、是非、美術館へ足をお運びください。
 
(文責:学芸部 土橋 加奈子 2014年4月)
 
【今月の1枚】ボッティチェッリ《春(ラ・プリマヴェーラ)》
イタリア・ルネサンスを開花させたメディチ家の豪華王ロレンツォ・デ・メディチが、従弟の結婚を祝ってボッティチェッリに描かせたといわれる「春(ラ・プリマヴェーラ)」。有名な「ヴィーナスの誕生」と対で描かれた作品ともいわれており、大塚国際美術館では隣り合わせの空間の中で鑑賞することができます。

オレンジと月桂樹の森の中に、右から西風ゼフュロス、大地の妖精クロリス、花の女神フローラ(あるいは春の女神ラ・プリマヴェーラ)、中央に愛と美の女神ヴィーナス、その頭上にキューピッド、左へ愛・貞節・美をつかさどる三美神、伝令の神メルクリウスと並び、花々の咲き乱れる愛と豊穣の季節、春とヴィーナスの王国が描かれています。

妖精クロリスの口元からこぼれ出るヒメツルニチソウは結婚を、フローラのまとうドレスの柄・薔薇は愛の勝利を意味します。また、オレンジは「知恵の木」の果実であり、勝利者の冠である月桂樹はメディチ家の紋章でもあります。
また、愛と結婚を祝福する一面に咲いた春の花は40種類以上、500本ともいわれ、当時のフィレンツェの野原に咲く花々を忠実に描いたものだそうです。

4月から9月は「名画花図鑑~花からわかる名画の秘密~」をテーマに、描かれた花にまつわるエピソードとともに絵画をご紹介いたします。
期間中、当館の1F庭園には、この名画に描かれた花の咲く花壇も登場。
これから気候のよい時期に、是非、美術館へ足をお運びください。
 
(文責:学芸部 富澤 京子 2014年3月)
 
【今月の1枚】リヴィエール ≪エデンの園≫
晩秋のロンドンの公園を歩く一組の男女。
公園の外には馬車が何台かとまり、 乗車する人を待つ御者(馬車を走らせる人)が描かれています。地面は濡れていて、男性が手にした傘の先からは雨のしずくが垂れていることから、つい先ほどまで雨が降っていたようです。

雨上がりの霧がかかった情景とは対照的に、こちらを向いた女性の表情は明るく晴れ晴れとしていて、作品を見る者の目を奪います。上目づかいで男性を見つめる女性の眼差しはとても優しく、手を握る男性の手にそっと右手を添えたその姿からも、男性を慕う気持ちが溢れています。

男性の表情を見ることはできませんが、彼女が自分に向ける愛らしい微笑みに対して、きっと愛情がこもった眼差しで見つめ返していることでしょう。そして男性が左手に持っている傘はよく見ると2本あり、彼女の傘も一緒に持って歩く男性の優しさにもうっとりしてしまいます。。

この作品はリヴィエールが描いた「エデンの園」です。
二人にとって人が誰もいないこの公園が、二人だけの世界、愛と希望に満ちた"エデンの園"。冷たく降り注いでいた雨がようやく上がったように、きっと二人の間にはいくつもの障害があったけれども、深い絆と信頼によってそれを乗り越え、今は幸せそうにこの公園を歩いているように見えます。
まるで一度はエデンの園を追われ、やがて努力によって罪をあがない、再び二人だけのエデンの園に帰ることを許された現代のアダムとエヴァのようです。

今月は1年に1度の特別なイベント"バレンタインデー"がありますが、描かれている女性のように、大切な人に優しい眼差しを向けて素直な想いを伝えたいものですね。
 
(文責:学芸部 山側千紘 2014年2月)
 
【今月の1枚】ピーテル・ブリューゲル(父)《雪中の狩人》

この絵は季節ごとの人々の生活を描いた「月暦画」のシリーズの一つです。暗い氷のような空と、この空を映した同色の池というモノクロームの彩色が、厳寒のネーデルランドの風景を表現しています。中央に飛んでいるカラスは、広大な空間の感覚を作り出しています。そんな環境の中、当時暮らしていた人々の様子が描かれたのがこの作品です。

 

手前に描かれている狩人は、狩猟を終え、一匹の獲物を背中に担ぎ、町に帰ってきています。ただその姿は、人も犬もうなだれており、一刻も早くこの寒さと疲労から解放されることを願いながら重い足を進めています。

 

また、左側の女性は「鹿亭」という看板を出している店の前で盛大に赤い火を燃やして豚の毛焼きを行っており、脇では男性が解体用の丸テーブルを運んでいます。
一番手前の凍った池の氷の上では、二人の女性が橇(そり)に人を乗せて、引っ張って遊んでいます。橋の向こうに見える氷の上では、独楽(こま)回しをして遊んでいる2人組の姿が描かれています。他にはカーリングやスケートをしている姿も描かれています。

 
このように厳しい環境の中で暮らす苦労もあれば、その環境だからこそできる遊びの楽しさもあります。冬真っ只中の今、生き生きした姿で描かれている当時の暮らしぶりを当館で是非ご鑑賞下さい。
 
(文責:学芸部 川﨑泰寛 2014年1月)
 
【今月の1枚】ゴッホ《ローヌ川の星月夜》

ゴッホは夜の風景をその場で制作する事を好んでいました。
この《ローヌ川の星月夜》も、弟のテオ宛ての手紙によればガス灯のあかりの下で描いたそうです。
画面に描かれているのは澄んだ夜空に、またたく大きな星々。そして水面にゆらめくガス灯の輝き。
手前にはひと組のカップルが身を寄せ合いながら歩んでいます。

ゴッホは友人にあてた書簡の中で、この作品について次のように述べています。
「町の上には大熊座の見える星月夜だ。コバルト・ブルーの夜空にまたたくピンクとグリーンだ。」

しかしこの風景はローヌ河畔から南西を眺めた方向であり、空には見えないはずの大きな北斗七星が描かれています。ゴッホは、見た通りのローヌ川を描いたわけではありません。彼の心の目に映る美しい「ローヌ川の星月夜」を描いたのです。

ゴッホはローヌ川が流れるアルルの地を、彼の憧れの国である「日本のように美しい土地」と思い、愛していました。
1888~89年のアルル時代に、彼は「ヒマワリ」や「アルルのゴッホの部屋」等、数々の名作を完成させました。

当館では「15著名人が選ぶこの1点!」として《ローヌ川の星月夜》をご紹介しています。誰が選んだ1点かは、当館にお越しなった際のお楽しみとしてご覧になってください。

 
 
(文責:学芸部 荒田千鶴 2013年12月)
 
【今月の一枚】ピーテル・ブリューゲル(父)《子供の遊び》
この絵には、約250人の子供と約90種類の遊びが様々に描かれており、それが画面右奥まで続いています。
中央少し下に馬乗りになった子供がひもを引っ張りあっています。
これは、現代でも行われている遊び「騎馬戦」です。
お互いに騎手がひもを引っ張り、地面に引いた線より手前に引きずりこむかもしくは騎手を落とすかで勝敗を決定します。 この場面では、地面に置いた2つの石を線代わりにしています。片方の馬は線を超えそうですが、もう一方の騎手を見ると 上体が崩れるほど引っ張られており、落ちそうな状態で今にも決着がつきそうです。

その「騎馬戦」の少し左上には、遊びに負けた後に罰ゲームを受けている様子が描かれています。 少年達が2列に座り、その間をつまずきそうになりながら2人の少年が歩いています。 これは、「むち打ちの刑」です。中世の頃、2列に並んだ執行人が罪人をむちで打つという刑がありました。 この絵では、足をすくいつまずかせようとしています。他には、ハンカチで叩く、足をつねるといった形で遊びに負けた罰を 受けていました。

そしてその他には、「騎馬戦」のすぐ上に「馬とび」、さらにその上の家の壁付近に「竹馬」、その左には指先にほうきを 立てバランスをとる「棒立て」の遊びが描かれています。皆さんも経験がある遊びだと思います。

このような様々な「子どもの遊び」を細部まで写実的に描くブリューゲルならではの絵画を当館で是非ご鑑賞下さい。
 
(文責:学芸担当 大塚国際美術館 井上貴文 2013年11月)
 
【今月の一枚】ミケランジェロ

《システィーナ礼拝堂天井画および壁画》より「ノアの方舟」

 
《神のごときミケランジェロ》の天井画をご紹介。

ノアの物語の一つ「ノアの方舟」。ノアはアダムの誕生から数えて、10代目の子孫で、彼だけが正直に生き、神の目にかなった善き人であった。
従って、神はノアに方舟を造らせ、そこに彼の家族と全ての生き物の1つがいを避難させて、大洪水を巻き起こした。
40日、40夜の大雨によって他の全ての生き物は、滅んでしまった。
旧約聖書の中でも最もドラマチックなワンシーンである。

作者ミケランジェロはこの方舟を 実は、サンピエトロ大聖堂のすぐ横に建てられたシスティーナ礼拝堂の外観をまねて描いた。
天井画の方舟をよく観ると白い髭の男が体を乗り出し、外にむかって大きく手をふっている。
この髭の男がノア自身である。
また、方舟の小窓には白い鳩も描かれている。
16メートル下からではこの様子を観ることは出来ないが、ひとつ上の階からは手にとるように確認できる。
500年前の作者になったつもりでご覧いただきたい。

神のごときミケランジェロ!
 
(文責:学芸担当 大塚国際美術館 岡村修二 2013年10月)
 
【今月の一枚】ミケランジェロ「システィーナ礼拝堂天井画および壁画」
「神のごときミケランジェロ」人間業とは思えないその偉業に与えられた最高の賞讃です。

今から500年前、ミケランジェロは、時の教皇ユリウス2世の命により、ヴァティカン市国システィーナ礼拝堂の、高さ20メートル、広さはテニスコート3面分にもおよぶ大きな天井を埋め尽くすフレスコ画を描きあげました。しかも、わずか4年半という短い期間で、驚くことにほぼ独りで成し遂げました。

この大きな天井画には、最初に創られた人間、アダムが神によって命を吹き込まれる瞬間「アダムの創造」など創世記の場面を中心に、旧約聖書の壮大な世界が描かれています。ミケランジェロ30代の作品です。

その20数年後、同じくシスティーナ礼拝堂の祭壇画を、当時の教皇から依頼され、5年の歳月を経て「最後の審判」を完成させました。ミケランジェロ60代に完成させた円熟期の作品です。

9月からは「神のごときミケランジェロ」と題し、東京・国立西洋美術館「ミケランジェロ展」とタイアップをいたします。
大塚国際美術館が15周年を迎えた記念すべき年にご来館の皆様と共に、ミケランジェロの偉業をたたえられることは何よりの喜びです。
 
(文責:学芸部 浅井智誉子 2013年9月)
<<大塚国際美術館>> 〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1 TEL:088-687-3737 FAX:088-687-1117