おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
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【今月の1枚】ダヴィッド、ジャック=ルイ《レカミエ夫人の肖像》

【今月の1枚】ダヴィッド、ジャック=ルイ《レカミエ夫人の肖像》
 
今回ご紹介する絵画は18世紀のフランス新古典主義の画家で、フランス革命後にナポレオンの首席画家として活躍したダヴィッドの代表作。たいへん気品あふれるこの女性は、パリ社交界の花とうたわれたジュリエット・レカミエ夫人だ。
 
彼女は16歳でかなり年上の裕福な銀行家、レカミエ氏と結婚したといわれる。身につけている服は一見部屋着のように、または下着のようにも見える。古代風に見えるこの服、実はフランス革命後に上流階級の女性たちに流行した、れっきとした人前で着用するドレスなのだ。ドレスに使われた素材は木綿の平織り布で、透けるほどの薄地。しかも女性たちはこのドレスを着るとき、下着をつけていなかったというから驚きである。後にこのドレスは下着のように見えることから、「シミーズドレス」と呼ばれた。しかしヨーロッパの冬はとても寒い。ドレスが大変薄すぎたために風邪や肺炎で亡くなる女性が多かったと聞く。いつの時代もおしゃれと我慢はセットのようだ。
 
本作を描いたダヴィッドは歴史画に大きな才能を発揮した画家であるが、それと同時に肖像画の名手でもあった。621×979cmという大画面の「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠」を見ると、中にいかに主人公たちが際立つように描かれているかが見て取れる。当館にあるこの本作と「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠」で、ぜひダヴィッドの人物描写を確かめてみてほしい。
 
(文責:内藤 寿美子  2017年7月) 
 
 
 
ダヴィッド、ジャック=ルイ《レカミエ夫人の肖像》
≪レカミエ夫人の肖像≫
ダヴィッド、ジャック=ルイ(1748-1825)
ルーヴル美術館、パリ、フランス
油彩、カンヴァス/173×243cm
1800年制作
※写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです 
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