おすすめの今月の1枚

   
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【今月の1枚】ゴッホ、フィンセント・ファン 《タラスコンへの道を行く画家》

【今月の1枚】ゴッホ、フィンセント・ファン 《タラスコンへの道を行く画家》
 
11月3日(祝・土)より、新しい作品が追加されます。ゴッホの描いた唯一の全身自画像で消失してしまった名画、「タラスコンへの道を行く画家」です。
かつては、ドイツ・マグデブルクのカイザー・フリードリヒ美術館(現マグデブルク文化歴史博物館)が所蔵していたこの作品は、第二次世界大戦の間、戦火を逃れるためにたくさんの美術品とともに、近郊の岩塩坑に疎開されました。美術品が疎開された、岩塩坑は、地中460メートルもの深さで、当時その上にはナチス軍のジェットエンジン工場があり、工場にはドイツ最大のウラン庫もあった為、アメリカ軍の最優先占拠地とされていました。終戦後、アメリカ軍によって解放された時に多くの美術品は発見されましたが、ゴッホの絵があった部屋は2度の火災にみまわれた末、作品は姿を消してしまいました。
「タラスコンへの道を行く画家」は、火災で焼失したのかもしれません。しかし、誰かが価値ある作品のみ持ち去り、それ以外のものは火を放ち、証拠を消したのではないか、という説も拭い去れません。現在、岩塩坑のあった場所は、地盤沈下により入ることができなくなってしまいました。
この作品は、1888年、ゴッホが南フランスのアルルに滞在している間に描かれた作品です。題名にある“タラスコン”とは、アルルからほど近い町の名前です。ゴッホはイーゼルや画材をもってタラスコンに続く道を、お気に入りのモンマジュール修道院まで何度も通ったそうです。その時の自分自身の姿を描いた作品です。
今月、もう見ることができない名作がよみがえります。
(文責:浅井智誉子 2018年11月)
 
 
ゴッホ、フィンセント・ファン《タラスコンへの道を行く画家》
ゴッホ、フィンセント・ファン[1853-1890]
《タラスコンへの道を行く画家》
1888年 アルルにて制作、1945年消失 
48㎝×41.8㎝
マグデブルク文化歴史博物館、マグデブルク、ドイツ 
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